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腫瘍・血液(腫瘍・血液・感染症内科)

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HTLVー1について

1.HTLVー1って何ですか?

 HTLVー1(human T-lymphotropic virus type I)とは、ヒトT細胞白血病ウイルスのことです。
 現在日本ではおよそ110万人の方がこのウイルスに感染していると推測されています。このウイルスに感染している方の分布には地域差があって、日本では九州・沖縄出身者に多いことが知られています。

2.HTLVー1感染はどのようにして起こりますか?

 HTLVー1感染の最も多い経路は母子感染です。HTLVー1に感染している方のことをHTLVー1キャリアと呼びますが、HTLVー1キャリアのお母さんから主に母乳を介して感染します。このほか性交渉によって感染することもわかっていますが、この場合は多くは男性から女性への感染です。このウイルスが遺伝することはありません。  
 輸血によっても感染しますが、昭和61年以降HTLVー1に感染した血液は輸血には使用されておりませんので、今ではその心配はありません。  
 食器の共用や浴室、トイレなど日常生活ではHTLVー1感染が起こることはありません。

3.HTLV-1はどんな病気を引き起こしますか?

 以下の二つの病気が代表的なものです。
(1)成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL,ATLL)

 血液の中のリンパ球(白血球の一部)のがんです。くすぶり型・慢性型・リンパ腫型・急性型の4つの病型に分かれます。
このなかで特に問題となるのは、リンパ腫型・急性型です。発熱や身体のだるさとともに、首やわきの下・足の付け根などのリンパ腺が腫れたりします。血液検査をすると白血球数が多いなどの異常があります。この状態になると化学療法(抗がん剤)による治療が必要になることがほとんどです。
 くすぶり型・慢性型では、すぐに抗がん剤による治療は行わず、リンパ腫型・急性型になるまで経過観察を行います。海外ではこの時期から治療をすることで予後が改善することが報告されており、その検証のため、今後日本でも臨床試験が開始されることになっています。
 HTLV-1キャリアが生涯でこの病気を発症する可能性は5%あるいはそれ以下です。40歳を過ぎたキャリア1000人のうち一年間に1人が発症すると言い換えることもできます。平均発症年齢は65歳~70歳です。
 

(2)HTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)

 手足のしびれや麻痺、排尿障害や便秘などを徐々に起こす神経疾患です。発症頻度はATLより低くHTLV-1キャリアの生涯で0.25%程度といわれています。
 
 このほかきわめてまれにATLを発症する前に特殊な肺炎など免疫力低下による症状を起こすことがあります。

4.HTLV-1キャリアが気をつけておくべきことがありますか?

 現時点ではATLやHAM/TSPの発症を予防する方法はありません。しかし、HTLV-1に感染していても、そのなかからこれらの病気が発症する可能性は高くはありません。多くの方は健康な生活を送ることができます。過剰に心配しないことの方がずっと大切です。
 HTLV-1キャリアから他の人にウイルスを移してしまうことは、日常生活では起こりません。また成人後、性交渉によって感染したとしてもATLATL発症の危険性は極めて低いと考えられています。

5.妊婦健診でHTLV-1抗体陽性といわれたあなたへ

 HTLV-1の主要な感染経路は母乳です。HTLV-1キャリアのお母さんが、普通に授乳した場合には15%~20%の赤ちゃんがHTLV-1に感染すること、まったく母乳を与えなかった場合にはそれを3%程度に減らすことがわかっています。このほか、母乳をいったん凍結してから与える、あるいは3か月程度の短期授乳に制限することによって感染の可能性を下げることができることもわかっています。そこで、平成2年から全国で妊婦健診にHTLV-1抗体検査が加えられました。

 HTLV-1抗体検査の際には、まずスクリーニング検査が行われます。スクリーニング検査では、本当の陽性者を誤って陰性と判断しないことが大切です。ですから、実はHTLV-1に感染していないにもかかわらず。ごく少数の方では陽性となってしまうことがあります。したがって、スクリーニング検査が陽性であった場合には、必ず確認検査(ウエスタンブロット法が使用されます)が必要です。

 もしも、妊婦健診でHTLV-1に感染していることが分かった場合、通院中の産婦人科の先生や助産師さん、看護師さんとじっくり相談してください。地域の保健所、あるいは福岡大学病院に開設されているHTLV-1キャリア外来も力になれます。何もひとりで悩むことはありません。
 HTLV-1に感染していても、ATLやHAMを発症する可能性は5%ぐらいに過ぎません。ATLを発症する平均的な年齢は60歳代後半です。しかも若いあなたにとってはずっと先のことです。それにこわい病気はATLやHAMだけではありません。例えば、乳がんを考えてみましょう。日本女性の20人に1人が乳がんにかかるといわれています。しかも発症のピークは40代後半~50代と若い世代です。赤ちゃんがもうすぐ生まれることを楽しみにしているなかで、HTLV-1に感染していることを知らされたこと、授乳制限を勧められたことは、とてもつらいかもしれません。あなたが命にかかわるような病気にかかる確率はATLやHAMより、乳がんやその他のがんのほうがずっと高いのです。
 生まれてくる赤ちゃんにおっぱいをあげられないこと、またはおっぱいをあげることに制限を加えないとならないことは、つらいことだと思います。でもそのつらい気持ちを乗り越えるあなたの姿は尊いものだと思います。

 キャリアマザーさんの御家族や周囲の方がこの文を読んでおられたら、つらい気持ちをどうか理解して支えてあげてください。おっぱいをあげないという選択をしたことはとてもつらいはずです。でも赤ちゃんにHTLV-1を感染させないために、そのつらい選択をしたわけですからそれを乗り越えることができるように、そっと見守ってください。



6.福岡大学病院 HTLV-1キャリア外来について

 福岡大学病院ではHTLV-1キャリアの方が、ご自身の状況を正しく知って、正しい知識を持っていただくために、平成22年11月からHTLV-1キャリア外来を開設しています。
 不安を抱え込んで、一人で悩まずに、どうぞご相談下さい。
 また、福岡大学病院はHTLV-1感染者コホート共同研究班(JSPFAD)の協力実施医療機関にもなっています。

予約方法(十分な時間が取れるよう予約制にしています。)

一般の方:
 月曜日~金曜日の9時30分から12時30分に福大病院代表電話 092-801-1011にお電話いただき、「HTLV-1キャリア外来の予約」とお申し付けください。紹介状をお持ちでない場合は、初診料加算額 3,240円(消費税込)が必要です。  
   
医療機関からの紹介の場合:
 福大病院地域医療連携室に電話またはファックスで御連絡いただき、「HTLV-1キャリア外来の予約」とお申し付けください。

費用

 かかりつけの先生などからの紹介状をお持ちでない場合は、初診料の他に保険外併用療養費として3,240円(税込)を自費でお支払いいただくことになります(紹介状なしでの通常の初診受診と同じ取り扱いです)。
 検査が必要と判断された場合には、その費用が保険診療として別途追加されます。

担当医師

 石塚賢治ほか血液・腫瘍・感染症内科医師

7.HTLV-1キャリアのあなたへ

 平成24年年4月15日に福大病院で開催された「HTLV-1ウィルスとATL、HAM医療講演会・シンポジウム」(福岡大学病院腫瘍センター等主催)で使用したスライドにリンクします。
PDFファイル

8.HTLV-1とその関連疾患について

 平成22年年12月22日に福岡県医師会館で開催されたHTLV-1の母子感染予防及びキャリア支援のための研修会で使用されたスライドにリンクします。
PDFファイル

9.HTLV-1の正しい知識のための情報サイト

 
 
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