各部門・センター

救命救急センター

各部門・センター紹介

ごあいさつ

診療部長 仲村 佳彦 Yoshihiko Nakamura

当センターは、福岡医療圏における救急医療の要として、1992年(平成4年)4月に開設されました。

大学病院併設型の救命救急センターで、各診療科の協力の下に、3次救急医療施設として年間約500-600名の重症患者を24時間態勢で受け入れています。現在では福岡市は基より、福岡県、近隣県からの救急要請にも対応し、他施設では対応困難な多発外傷、多臓器不全、脳卒中、心筋梗塞、重症感染症、広範囲熱傷、指肢切断、重症薬物中毒等の重症患者を積極的に受け入れています。また、2020年(令和2年)7月より重症呼吸不全患者のより専門的な治療に特化したECMO(extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)センターを開設し、重症呼吸不全の治療を積極的に行っています。また、2021(令和3)年10月よりECMO搬送に特化した専用車両であるECMO carを九州で初めて導入し、重症呼吸不全患者の長距離搬送に対応できる様になりました。

2024年5月に新本館へ移転後は初療室3室、初療室に隣接するCT/MRI、救命センター専用病床、地上に加え屋上ヘリポート、ドクターカー、ECMO car等の設備を備えており、救急科専門医と各診療科専門医合わせて約20名程度が常駐し、専門分野別にチームを組み、地域救急医療に貢献すべく、24時間365日途絶えることなく最先端医療の提供に努めています。

病院外においては、消防、医師会、学会、行政などへの活動にも積極的に参加し、災害発生時の緊急援助訓練や市民への心肺蘇生手技講習などを通じて、地域の救急医療体制の質の向上にも努めています。

特徴・特色

初期診療

初期診療は、重症度・緊急度の高い患者さんを収容し、全身の診察、検査をおこない診断および蘇生を目的とした治療を行います。

災害医療

当院は災害拠点病院でもあり、2003年(平成15年)より警察・消防協力の元、民間では県内最大規模の防災訓練を行っています。また、「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」として知られる災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team:DMAT)を有し、災害が発生した際は迅速な災害医療の提供を行っています。

病院前救護

2018年1月よりFMRC(ファーストメディカルレスポンスカー)を導入しました。FMRCは救急現場に医師や看護師を投入するための緊急自動車で、重症救急事案が生じた際には消防からの要請によりFMRCが出動します。医師は病院で患者さんを待つのではなく、救急現場へ駆けつけ早期診断・早期治療を行う『攻めの救急』を実践します。

集中治療

各診療科との協力体制のもとに、どのような重篤な疾患でも迅速かつ適切な集学的治療を行います。ECMOセンターでは特に重症呼吸不全患者に対するECMO治療は国内でもトップレベルを誇っています。

主な対象疾患

  • 心肺停止
  • 重症呼吸不全(重症肺炎)
  • 脳血管障害(脳出血・脳梗塞等)
  • 急性冠症候群(心筋梗塞等)
  • 重症外傷(脊髄損傷含む)
  • 大動脈解離
  • 急性薬物中毒
  • 敗血症、敗血症性ショック
  • 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
  • 広範囲熱傷
  • その他大手術・集中治療を要するもの

専従スタッフ(2024年4月現在)

専従医師 24名(教授1名、准教授2名、助教12名、助手13名)
看護師 65名
認定看護師 5名(救急看護認定看護師2名、集中治療ケア認定看護師1名、摂食・嚥下障害看護認定看護師1名、感染管理認定看護師1名)
看護助手 3名
クラーク 2名
メディカルクラーク 1名
臨床工学技士 専任4名
薬剤師 専任2名
理学療法士 専任2名
栄養士 専任2名

設備

  • 救命救急センター救急搬入口と直結した3つの救急初療室
  • 救急初療室に直結したCTスキャン
  • 人工呼吸器、ECMO、血液浄化機器、人工膵臓、熱傷用特殊ベット
  • ECMOカー(ドクターカー:患者搬送可)
  • ドクターカー(ラピッドカー:医療従事者搬送)
  • 災害用各種備品
  • 臨床訓練室(シムマン・ハートシム・マイクロシム)等

3次救急患者受け入れ実績

2008年度 742例
2009年度 848例
2010年度 924例
2011年度 864例
2012年度 774例
2013年度 888例
2014年度 718例
2015年度 684例
2016年度 763例
2017年度 879例
2018年度 828例
2019年度 786例
2020年度 545例(新型コロナ患者受け入れで減少)
2021年度 434例
2022年度 587例
2023年度 565例

症例別の患者数

(2023/01/01-2023/12/31)

疾病名 患者数 転帰
退院・転院 死亡
1 病院外心停止 133 37 96
2 重症急性冠症候群 9 9 0
3 重症大動脈疾患(解離・瘤) 10 8 2
4 重症脳血管障害 70 58 12
5 重症外傷(AIS3以上もしくは緊急手術) 139 129 10
6 重症熱傷(Artzの基準による *1) 13 11 2
7 重症急性中毒 14 14 0
8 重症消化管出血 6 4 2
9 重症敗血症 14 12 2
10 重症体温異常 8 7 1
11 特殊感染症(ガス壊疽・壊死性筋膜炎等) 9 8 1
12 重症呼吸不全(ARDS) 27 25 2
13 重症急性心不全 21 17 4
14 重症出血性ショック 2 1 1
15 重症意識障害 15 14 1
16 重篤な肝不全 2 1 1
17 重篤な急性腎不全 3 3 0
18 その他の重症病態(甲状腺クリーゼ・急性膵炎等) 17 14 3
合計 512 372 140
参考
*1 Artz CP:The treatment of Burns,2nd ed.,WB Saunders,Philadelphia,1969.

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