臨床検査・輸血部
各検査紹介
Last update 2024/4
福岡大学病院 臨床検査・輸血部では、臨床化学・遺伝子検査室、血液・一般検査室、細菌検査室、生理機能検査室、緊急・輸血検査室、治験・検査相談室、輸血管理室、事務部門に分かれ、医師、臨床検査技師、事務職員など約60名の職員で運営しています。
臨床検査とは、人体から採取および排出された検体の検査と厚生労働省令で定める生理学的検査を行うもので、当院でも採取された血液中の糖質、蛋白質、ビタミンなどの生化学検査、身体に侵入した細菌やウイルスを特定する免疫検査、白血球数や白血球の分類などを行う血液検査、細菌感染などを同定する微生物検査、尿中の成分を調べる一般検査、適正な輸血を行うための輸血検査を行っています。また輸血管理室では血液製剤の品質管理、輸血後副作用の管理、輸血製剤の適正使用管理などを行っています。
生理学的検査では心電図検査、呼吸機能検査、脳神経検査、心臓や血管などの超音波検査を行っています。その他にも感染対策チーム(ICT)、栄養サポートチーム(NST)などのチーム医療も積極的に参画しています。
当部は2014年に国際規格ISO15189を取得し、品質マネジメントシステムの構築、臨床検査の信頼性や品質向上に結びつけています。とくに「臨床」、「教育」、「研究」これら3点を基本に考えています。
・「臨床」では、診断や治療を行う上で必要な臨床データを迅速かつ正確な結果として情報提供できることはもちろんのこと、高度最先端医療を提供する場所でもあり、最先端診断技術の提供ができるよう知識や情報を得て技術を磨かなければなりません。
・「教育」では、人材育成が重要となります。特に当部は技術職でもあり今までの経験や知識を後世に伝えなくてはいけません。
・「研究」は、当院の重要な使命のひとつと考えています。高度技術の開発の役割を担う大学病院において当部でも臨床研究はもちろん学会発表や論文など取り組むことを目標にしています。
当院の基本理念である「あたたかい医療」を念頭におき、これからも患者さんに安心安全な質の高い医療を提供することを目指して歩んでいます。
福岡大学病院 臨床検査・輸血部
技師長 嶋田 裕史
一般検査室
- 尿中の糖や蛋白、有形成分(尿沈渣)の検査を行っています。これらの検査は腎、尿路系の疾患や肝、内分泌の病態を把握するために有用です。
- 便潜血反応を実施して、下部消化管からの出血の有無を判定しています。大腸疾患に有用な検査です。
- 寄生虫検査、妊娠反応、精液、髄液、穿刺液検査なども行っています。
採尿の仕方
採尿にあたっては、外尿道口での汚染をさけるために、「中間尿」を採ることが大切です。
まず少し排尿して、最初の尿で外尿道口を洗い流します。
続いて排尿途中の尿(これを中間尿と呼びます)を尿コップに採ってください。
血液検査室
- 血液中の白血球、赤血球、血小板などを計測したり、血液中の細胞の種類や形態を判定しています。血液疾患の診断や経過観察、貧血、感染症、出血などの病態の把握に用いられます。
- 凝固線溶検査、血小板凝集能検査なども行っています。
臨床化学検査室
- 採取された血液や尿などに含まれている様々な成分を分析し、病気の診断、治療の判定などに利用されます。
- 検査は、それぞれの項目に対応した自動分析装置にて測定されており、正確かつ迅速な結果報告を実施しています。
- 検査の項目としては、生化学検査、腫瘍マーカー、血中薬物濃度、内分泌関連検査、感染症関連検査、免疫・アレルギー関連検査などがあり、多岐に渡る項目を実施しております。
細菌検査室
血液、尿、喀痰、便、膿などから、感染症の原因になっている細菌を見つける検査室です。
見つけた細菌の種類を調べ(同定検査)、どんな薬が効くか(薬剤感受性検査)を報告します。
また、病院関連感染が起きないよう、地域と連携して感染対策活動を行っています。
遺伝子検査室
- B型肝炎の、血中におけるウィルス量(HBV核酸定量)を高感度かつ広範囲に検出する遺伝子検査を行っています。
- 肝炎の確定診断、治療効果のモニタリングに必要な検査です。
緊急検査室
入院患者さんの病態急変、手術中・術後、救急搬送患者さんへの対応のため、血液、尿、髄液などの検体を用いた至急性の高い検査項目について、休日・夜間を含め、24時間対応を行っています。
輸血検査室
輸血が必要な病気や、手術・外傷などの治療・処置において、患者さんに適合した血液製剤を準備する為に必要な検査を、休日、夜間を含め24時間行っています。
- 血液型検査:多数存在する人の血液型判定の中で、最も重要なABO式、Rh式血液型を調べます。
- 不規則抗体検査:副作用の原因となる赤血球に対する抗体がないか調べます。
- 交差適合試験:使用される血液製剤と患者さんの血液を混ぜ、異常がないか調べます。
生理機能検査室
生理機能検査室では、循環機能検査・呼吸機能検査・脳波・神経伝導検査を実施しています。
以下に主な検査項目について紹介します。
循環機能検査室
心電図検査
心臓の電気的興奮の変化を測定することで心臓の病気の診断や治療に役立てます。(所要時間:5〜10分)
加算平均心電図
通常の心電図では記録困難な微小な心電図を測定することで、不整脈の治療方針の判断につながります。(所要時間:20分程)
運動負荷試験
踏み台の昇降運動またはベルトの上を歩いて心臓に負荷をかけたときの心電図や血圧などの変化を調べる検査です。(所要時間:30分程)
ホルター心電図
胸にシール電極を貼り、24時間心電図を記録します。長時間記録をとることにより、不整脈の出現頻度や内容、症状との関わりなどがわかります。
記録中はシャワー、入浴ができません。また、翌日に検査機器を外しに来室していただきます。
PWV/ABI
上・下肢の血圧、脈波速度を測定することで動脈の閉塞・硬化状況を調べる検査です。(所要時間:10分程)
SPP(皮膚灌流圧)
血圧測定のようにカフを巻いて圧力をかけ、皮膚レベルの血流評価を行う検査です。(所要時間:30分)
心臓超音波検査
心臓の形態的(構造物の形や大きさ、動き)異常や機能的(ポンプとしての)異常がないか調べます。
血管超音波検査
全身の動脈、静脈を検査対象とします。形態的(大きさや形状)異常や機能的(動脈および静脈としての)異常がないか調べます。
呼吸機能検査室
呼吸機能検査
肺の働きを調べる検査です。大きく息を吸ったり吐いたりしていただきます。
検査をするにあたって痛みもなく体への影響もありませんが、ご本人の努力を必要とします。(所要時間:10分〜45分 検査内容によって変動します)
睡眠時無呼吸検査
睡眠時の呼吸障害の程度を調べる検査です。ご自宅で検査をする簡易睡眠時無呼吸検査や、より詳細な睡眠時の呼吸状態を調べるために、入院(1泊2日)して検査するPSG検査があります。なお簡易睡眠時無呼吸検査の場合は翌日に検査機器を返却していただく必要があります。
呼気NO検査
呼気に含まれるNO(一酸化窒素)の濃度を測定することで、喘息の有無や程度を調べる検査です。
大きく息を吸ったり吐いたりしていただきます。(所要時間:5分程)
脳波・ 筋電図検査室
脳波検査
頭の表面に電極を付けて、脳の働きを調べる検査です。脳は活動する際にごく微弱な電気を発生しています。それを記録することで大脳が活動している様子を調べます。(所要時間:40分~60分)
神経伝導検査
手や足の神経に電気刺激をして神経を伝わる電気活動の速度を測定します。電気刺激時にやや痛みを伴います。(所要時間:30分〜60分 検査内容によって変動します)
誘発電位検査
SSEP(体性感覚誘発電位)、ABR(聴性脳幹反応)、VEP(視覚誘発電位)の検査を実施しています。
感覚刺激(検査の種類により電気刺激、音刺激、光刺激)を行い、誘発される脳の電位を記録します。1回の刺激で出現する脳の電位は極めて小さいため、1000回程度刺激を行います。(所要時間:60分程)
治験・検査相談室
治験・検査相談室は、医療従事者(医師、看護師、薬剤師など)を対象に診療側からの臨床検査に関する問い合わせや相談に対応しています。
1998年に開設し、年間約1000件の問い合わせや相談を受けています。
次のような問い合わせや相談が多く寄せられています。
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検査の種類は近年多くなっています。検査に関するあらゆる問い合わせや相談に対応することで、医師、看護師、薬剤師などの病院スタッフを支援しています。