消化器内科

がんについて

肝臓について

肝細胞がんの標準的な治療のひとつにラジオ波焼灼術(RFA)があります。経皮的に肝内の腫瘍に直径1.5ミリの電極針を挿入し、ラジオ波電流を流すことにより、電極周囲に発生させた熱で病変を焼灼する治療で、一般に開腹手術に比べて体への負担が少ないことが特徴です。消化器内科ではこれまで2000例以上の治療実績があり、最近では肝細胞がん以外に、他臓器がんからの転移による肝腫瘍に対しても治療を行っています。

電極針の穿刺は、超音波診断装置での観察下で行うのですが、超音波での腫瘍検出が困難な病変では穿刺ができない場合もあります。2017年1月に導入された最新の超音波診断装置には、治療前に撮影されたCTやMRI画像を、超音波画像のリアルタイムな動きに連動させ、病変検出をサポートするフュージョン機能が備わっています。この機能により、従来は超音波での描出が困難であったり、合併症の危険が高い部位にあるためにRFA治療ができなかった病変に対しても、安全性を確保しながら積極的に治療を行うことができるようになりました。実際に、新規超音波機器導入後から当科におけるRFA件数は飛躍的に増加しており、多くの患者さんがRFA治療の恩恵を受けています。今後もますます多くの患者さんのお役に立てるよう、治療技術の研鑽に努めていきたいと考えています。当科では、RFAだけでなく、個々の肝臓病患者さんに最適な治療ができる体制を整えています。肝臓病の治療について知りたい方は、ぜひご相談ください。

(図) 左側が治療前に撮影した肝臓のMRI画像。右側がリアルタイムに観察している超音波画像。矢印で示されているのが、肝がんです。フュージョン機能により、両者の位置関係が一致しているのがわかります。

消化管について

食道・胃・大腸癌は早期発見できれば内視鏡でとりきれる可能性が高まります。そのためには、正確な診断(範囲や深達度を含む)が重要であり、X線、内視鏡、超音波内視鏡を用いて、きちんとした診断を心がけています。

特に内視鏡に関しては、通常内視鏡や拡大観察の他、Narrow band imaging (NBI)やBlue Laser Imaging(BLI)などの画像強調観察内視鏡(Image-Enhanced. Endoscopy)を早くから取り入れ診断力向上に努めています。当科で発見した症例や紹介例のうち、適応を有する早期癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal resection, ESD)や内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection, EMR)を積極的に行っています。特にESDは内視鏡を使って比較的広範囲に切除できるため、遺残・再発が少ない、腹部の傷がない、そして臓器を温存できるという数々のメリットがあり、多数例で良好な治療成績を得ています。

また内視鏡切除に時間がかかりそうであったり、患者さんの基礎疾患等によっては、手術室での全身麻酔下での治療も積極的に施行しています。

また、企業とのタイアップで新規のスコープや治療器具をいち早く使用可能な体制をとり、合併症の少ない安全な治療となるように努めています。

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